「企業研究なんて、できない」
大学生の私は、そう思っていました。仕事を実際に体験してみないとわからない、何を根拠にして判断すればよいのかわからないと感じていました。
今振り返ってみても「全くその通り」だと考えています
企業も学生も就職活動に膨大な時間をかけます。しかし、毎年ミスマッチが起き、3年で3割退職してしまいます。
なんとかしたいので、各企業は大学生向けにインターンシップ制度をこしらえます。リクルートは社会人向けのインターンシップサービス「サンカク」をリリースしました。マッチングは永遠の課題だったりします。
マッチングは課題がありますが、企業のことを知れば、好きになります。そういった意味で企業研究はマッチングのキーとなります。
私は、学生時代100社にエントリーしました。そして、10年人材ビジネスに関わってきました。転職経験も4回あります。その経験の中で、この視点で企業研究を行えば良いというポイントを1つご紹介します。
こんな方におすすめ
- これから企業研究に取り組む方
- 転職を考えている方
- 自社の魅力を再発見したい方
Contents
企業研究のやり方
大学のガイダンスでは「企業研究をしなさい」とだけ言われます。キャリアセンターは「専用のシートを作成して、気になる企業についてのリサーチをする」とだけアドバイスをするかもしれません。
どういう視点を持てばよいのか視点が欠けているケースが多いのではじめに解説します。
結論としては、「市場」⇒「組織風土」⇒「仕事内容」⇒「福利厚生」の要素を順番に整理することをおすすめします。
市場
自己分析が終わっていることを前提として、お話を進めます。
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スキ・キライでやる自己分析のススメ
今回は「自己分析」をテーマにお話をしていきます。私はかつて「自己分析」をなぜやるの理解できませんでした。「新卒採用なんて所詮ポテンシャル採用だからやって意味がないのでは?」疑問を感じていました。
ですが、やってみると意外と味わい深く、効果があるのです。就活本でよくやる「自分を客観的に判断できるデータを準備する」ということはしません。100%主観です。あなたのことをあなたに訊ねていきます。続きを見る
自分が興味があるものや惹かれる業界が見つかったら、その業界に関して調べていきます。
①業界は現在どのくらいの規模で、今後伸びていく未来はあるのか ②業界のプレイヤー(企業)はだれか 勢力図はどんなか(業界地図を使って調べよう) ③企業はどんなターゲットにどのようなサービスを提供しているのか
この作業は就職活動の醍醐味で、調べれば調べるほど楽しくなってくると思います。キングダムを読んでいるみたいに、あそことあそこはバチバチやっている覇権争いの構図が見えてきます。また、同じサービスなのに、ターゲットが異なるためライバルにならないケースなどもあります。どの企業がどの市場で商いをしているのか立体的に見えてきたら、企業研究は上々の滑り出しです。
組織風土
市場理解が進んだら、いくつか企業をピックアップして、組織風土を確認します。組織風土とは「組織(企業)において共通の認識とされる、価値観や理念。それに基づく事業構成など」を指します。企業のパーソナリティのことです。そして組織風土は、従業員の考え方や行動、感情などに確実に影響を及ぼします。組織風土を紐解けば、企業が自社製品・サービスをどのように提供するのか。社会に対してどうありたいか見えてきます。
①経営理念・ビジョンを確認する ②事業構成・内容を確認する ③トップインタビューから企業の未来を確認する
経営理念はいろいろ見ていくと趣深いです。例えば、広告会社の博報堂は「クリエイティビティでこの社会に別解を。」と掲げています。Webコンテンツ大手のサーバーエージェントは「21世紀を代表する会社を創る」とビジョンを表明しています。大手とも取引実績のあるおもしろ広告コンテンツ会社のバークハンバーグの企業理念は「がんばるぞ」です。広告というキーワードでもいろいろなプレイヤーが存在し、理念も異なります。
そして、その企業が何を考えどのような事業を行っているのか、調査してください。〇〇市場でトッププレイヤーでも、実は別の市場のシェアをとるために業態変化しようとしていたりするかもしれません。企業の未来に関してはトップインタビューを確認すると今後の戦略が透けて見えてきます。
仕事内容
組織風土の確認を終えたら、どんな職種があるのか、職種ごとの仕事内容な何かを確認します。ここでのポイントは
①その仕事の 顧客はだれで どんな期待にたいして なにを提供しているのか 言語化する
②先輩仕事記事などで、1日のスケジュールや成長ストーリーなどで仕事で必要な能力や使用するツールなどを確認する
③仕事場でサポートや能力アップの機会があるか確認する
この仕事内容は、実際にOB訪問やリクルーターインタビューなどで、聞かないとわからない部分も多いです。はじめは空欄にしておいても構いませんが、入社を決める際には埋めておく必要があります。特に①が大切になります。仕事の顧客が誰なのかによって「難易度」「面白さ」「得意」などが変わってきます。お客さんはどんな人なのかしっかり確認しましょう。場合によっては同じ社内の部署の人が顧客という場合もあると思います。
そして、ちゃんと現場でサポート体制があるのかも確認してください。入社して放置されるほど新卒にとっての悲劇はありません。ちなみに私は1社目と2社目は放置でした。そのためスキルが高まらなくて、苦労をしました。能力が開花されたのは29歳の時です。
福利厚生
最後に福利厚生です。実はこの項目は私が人材メディアの営業や研修企画をしていた時には「見なくてよい」「福利厚生で企業を選ぶな仕事で選べ」と言っていました。しかし、考えてみると人生や日々の生活に直結する内容もあるので、押さえておくべきと思い始めています。
直接会社説明会に参加して、人事に福利厚生に関して質問するのであれば、2点ポイントがあります。
①福利厚生の制度に関して実績を確認すること
「有給取得実績はどのくらいですか?」「リフレッシュ休暇の利用率はどのくらいですか?」など本当に使っているのか確認してください。
②福利厚生に関して会社はどのようなスタンスなのか?制度をつくった背景を確認すること
「健康経営には力を入れていますか?きっかけはありますか?」「なぜリフレッシュ休暇を制定されたのでしょうか?」背景を質問をするとその企業のパーソナリティが浮き彫りになってきます。
福利厚生には一長一短あるため、多くの人事は福利厚生で企業を選ばないで欲しいと思っています。質問する際には、福利厚生のみヒアリングすることは避けた方がよいです。心証が悪くなります。
企業研究のポイント
企業研究をする際の視点は上記で述べましたが1つポイントをお話すると、「順番」を間違えないでくださいということです。
①まず自己分析を行い、自分の価値観や志向を言語化しておく
②「市場」⇒「組織風土」⇒「仕事内容」⇒「福利厚生」の要素を順番に整理する
③思い込みに走らない(補足です)
例えば、福利厚生軸から企業を絞ろうとしても情報をの粒度が違いすぎて、思考が崩壊する可能性があります。大きな情報の粒から順番に処理することが大切です。
私は、「絶対広告。だめなら求人広告でも可」と根拠なく決めて、勝手に妥協したために、会社や仕事への思い入れが弱く、成果があげられず、2年目にリストラされました。勝手な思い込みも悲劇を生みます。
自分のこと、企業のことなど多くの情報を整理し、順番に処理することで、根拠と納得感を得ることができます。
まとめ
企業研究は「市場」⇒「組織風土」⇒「仕事内容」⇒「福利厚生」の要素を順番に整理するのがポイントです。結果、自分とマッチする企業を絞り込むことができます。
加えてアドバイスすると扱う情報が多いので、知っていることを持ち寄ってゼミ・サークルの仲間とワイワイしながらやるのもアリです。親に相談でも良いと思います。
私は友達が少ないので、一人で調査し、一人で決定してしまいました。もっと多くの視点やアドバイスをもらえばよかったというのが後悔している点です。
最後に、新卒の就活は一生に一回で、かつ多くの業界や企業に触れることができる唯一の機会です。自分が納得するまでやり込んでください。
読んでいただいてありがとうございます。また会いましょう。